異端の有田焼とはなにか?

まず伝作という名前の由来から始まります。

 

「伝作」という言葉は伝統を作るという意味合いが込められています。

常識的には伝統とは「守るもの・継承するもの」であって「伝統作る」という言葉自体は一見不遜に映ります。

まずこの名前の由来だけで十分に異端であることを表しています。

 

もちろん「名は体を表す」の言葉通り、発想力や技術面でもその”異端ぶり”を発揮しています。

技術面での伝作窯の特徴は「磁器と陶器の融合」という点にあります。

 

磁器も陶器も、土や砕いた石を練り固めて焼いて作ったものである点では同じですが、磁器は、主な原料は陶石と呼ばれる石質のもので、窯の温度は1300度前後です。製品の特徴は色が白っぽく、薄いのものが多いという点がポイントです。素材が陶石(石質)ということで硬度があり、ガラスに近い性質を持っています。 一方、陶器は、主な原料は陶土と呼ばれる粘土質で、窯の温度は1000度前後です。製品の特徴として土の質感があり、黄土色や灰色などに見え、厚みがあるものが多くなります。硬度はあまり高くないという特徴があります。

 

この他の誰も思い付かないような発想力とタブーを恐れずチャレンジし続ける技術力こそが伝作窯を「異端」たらしめ現在もなおチャレンジをやめない伝統を作り続けているのです。

その伝作窯の新しい『異端児たち』をご紹介いたします。

 

​甲冑シリーズ見参

その名の通り『甲冑』とは主に戦国時代を中心に武将が纏った防具です。

銃や刀剣や弓矢の攻撃から身を守るために、それぞれの戦国武将が作らせた主に金属製の防具です。

 

私たちが目指したのは現代のこの混沌とした時代を群雄割拠の戦国時代になぞらえて、

様々な攻撃から身を守る甲冑をモチーフにした、これまでにない独特の質感の表現を実現し、

世の中のあらゆる災難から身を守ることができるようにとの願いを込めて作品作りに当たりました。

繊細な土の選定、微妙な色付け、そして最も難易度の高い、安定した焼き上がりを目指す焼成工程を経て、

まるで戦国時代の甲冑のような渋く、華があり、金属の質感を持った既存の有田焼とは一味違う作品に

仕上げることができました。

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​黒助という挑戦

陶磁器に限らず茶碗などのデザインで外側が真っ黒というのは大変難しいものだ。食卓においては黒という色のもつ世界観は「美味しい」とか「和気藹々」という言葉とは対極にあるものだと感じられる。西洋の食器などを眺めても白中心であって「黒」というのは、まず見当たらない。一方、日本の時代劇のドラマや映画を観ると庶民の茶碗が黒一色だったりするシーンが出てくる。これはおそらく当時の庶民の経済事情が量産しやすく汚れの目立たない黒という色を選ばせていたのだろうと考える。

陶磁器を融合させた伝作窯のことである。コラボレーションは家風みたいなものである。

使いづらい黒ではあるが主張は強いこの色と、これまた違った意味で飯椀には珍しい派手な内側のコントラストが醸し出す、独特の庶民的ではあるが洒脱なこの組み合わせが「黒助」の真骨頂である。

お米が白米であれ、五穀米や麦飯やおかゆであれ、黒助で食べるご飯の美味しさや楽しさは、世に存在する多くの飯椀ではなかなか味わえない逸品であることに間違いはない。